経営者になるためのノート 株式会社ファーストリテイリング 柳井正 氏著  

ファーストリテイリング 柳井正氏の「経営者になるためのノート」 久しぶりに心に響く一冊になった。この本は「本」ではあるが、読み手が記入できる欄が大きくとってある、ある意味「ノート」なのである。経営者だけではなく会社員の方にも必ず読むべき一冊なのは間違いない。簡単に分かりやすく、だが、とても本質に迫っているこのノートは、これまで数々の問題や挑戦をし続けた「成功者」からのメッセージである。さらに、この本は定期的に読み返しができるように「ワークシート」や「自己採点欄」まであり、反省しっぱなしになる経営者がほとんどではないかと思ってしまう。直接の文章は購入してから楽しみに読んでいただきたいが、一文に涙した。

「本当に成功をしている人というのは、ビジネス・スポーツなどの分野に限らず、自分のやっていることを『イコール命』というような向き合い方をして、戦った人です。」

亡き父を思い出した。そして今の自分の不甲斐なさ。

私の知り合いに「吉田松陰先生!」と呼び、志を高くもつ人物がいる。まだ若いが真っ直ぐないい目をしている。

私が一番大勢を管理しながら仕事をしていた時の事を思い出した。当時、33歳。まだ未熟な頃で、組織を必至にまとめようといつも先頭に立って突っ走っていた。会社も飛躍的に大きくなり、とてつもない規模の設備を相手に建築中の工場に一人で出向き必至にメーカー技術チームと装置を立ち上げた。日本にまだ6台程度しか導入されていなかった装置で(台数は未確認です)関東では初めてだったはず。一つの装置に対して調整メーカーが4社、関係した人数だけで20人程度だったはず。それは中小企業の新工場立ち上げ・設備投資でまさしく社運がかかっていた。機械が大きすぎて先に設置してから外観の工事を行うといった、当時の私にはとても緊張した時期であった。金型は1セットで8~20万円、それが300型収納されるので型代だけでも3千万くらいだったはず。深夜に常務と旧工場で二人だけで専務に予算削減の為に消すられた金型を再度購入するように嘆願したりもした。その時の常務は兄貴のようだった。

今までと作業工程が一新し、同時に多品種・大量生産が可能となり、一日24時間しか無いのに22時間も稼働し続ける、お化けのような機械だった。最初はイロイロなトラブルがあり稼働時間もあまり伸びなかった。機械が停止すると携帯にアラームが入る仕組みになっていたので居酒屋で飲んでいるのを切り上げて調整に戻った事も何度もあった。現場責任者が一週間休んだ時は地獄のようだった。CADでの作業をするだけでも殺人的な忙しさに加え、機械のスケジュール管理や現場への指示、工程管理+品質管理と小さな会社ではなんでも自分でやらなければいけなかった。それでもある時ついに28日×22hで616時間と全国でもトップレベルの稼働を叩き出すまでになった。メーカーからの依頼で全国から見学にくる人たちが増えた。

「あの時、命がけで仕事に向き合ってた」

「仕事とは命がけで向き合うもの」父はそういう人だった。多くを語らずひたすらに仕事をしてた。よく「40過ぎたら分かるよ」ってのが口癖だった。
今はその意味が分かる。

もっと向き合わなきゃ。

この投稿へのトラックバック

トラックバックはありません。

トラックバック URL