精密板金での曲げ加工 問題点と解決方法

精密板金での曲げ加工 問題点と解決方法

どこまでの寸法公差が求められているか?JIS A or B でもかなり違う。ベンダーマンの育ってきた環境やどこで覚えてきたのか、性格など作業者によって仕上がった製品レベルは全く違った結果になります。まず、試し曲げに使う端材ですがシャーリングで切断した板と現品はレーザー加工とで試し曲げでの精度出しは40%程度。それは入熱によって角度が変わってしまう事が一番の原因です。シャーでの切断は火が入らない為、強く入ってしまう、これはエアベンドでもコイニングでも変わりません。それと左右の切断形状、曲げに対して垂直か水平かでも全く違います。垂直で切断されている側は寸法もプラス、角度も入り気味。逆に水平に切断されている側では寸足らず、角度は甘いモノとなります。要は曲げるラインに対して『抵抗があるかないか』を理解しなければいけない。

曲げるライン上に丸穴・角穴など、非均等に要素がある場合でも正確に測れば角度、寸法ともにめちゃくちゃな状態だということを最初に理解していないと複数曲がっていくうちにバラバラな品物が完成します。それにはやはり正確に測定するということが一番の近道です。サーボでも油圧でも機械の公差では対処出来ない範囲ですので人が調整するしかありません。そこが、とても非効率なところです。では、どう対処していくのか?

①BEND CADでのデータ収集を徹底的に行う。そのデータの活用を本気で行う。答えはそこにあります。https://www.ai-link.ne.jp/free/products/catalog/soft/cadcam/bendcam/feature.html

②曲げラインに対して左右の形状が違う(垂直、水平等)場合、CADで0.02程度の差を伸びで作りこむ。(※1但しベンダーマンには秘密で行う)CADには3DCAD・複合機・曲げ・溶接・仕上げまで完璧なオールラウンダーが入らないと実現はしません。(工場板金1級以上・出来れば特級クラス)http://www.waza.javada.or.jp/shokushu/list/koujobankin.html

③グラナイトの定盤(出来れば御影石、毎朝水拭きでスベスベをキープ、手垢を絶対に付けない)・マグネットホルダー・デジタルハイトゲージ等計測器具を充実させデジタルノギスは簡易測定とする。ものすごく大変ですが徹底して製品をマグネットに乗せハイトゲージで測定する。そのルールの確立https://www.mitutoyo.co.jp/products/tekoshiki/tekoshiki.html 

http://www.monotaro.com/g/00994813/  http://www.monotaro.com/g/00245812/

④測定結果は全て工程設計を担当する責任者へフィードバックしてデータを解析する

⑤品質会議では不良案件の結果報告はそこそこにして、前向きな話をし経営者から率先して提案していく(どうものを作りこんでいくのかを工程毎にメンバーを集め着座して考え答えを出す。)会議の仕方から変えないと社内の改革は出来ないでしょう。テーマを事前に通知し全員が考え結果を出す会議とする

※1)ベンダーマンは経験プライドが高くなってしまって、基礎学習・分析・解析を極端に嫌う事があります。職人上がりの経営者も同じようなケースがとても多い。営業マンだけが他の工場で積極的に改善する姿を目の当たりにしていくら訴えても社内は聞き入れない。そんな企業がとても多い。「井の中の蛙」に落ちっていしまっているのが一番の原因であるとも言えます。